2006/11/04

教育基本法

最近話題になる教育基本法はとっても短かくて解りやすいので読んでみれば良いと思う。
教育基本法
この短い法律は今の社会の教育には合わなくなったのだそうだ。


それはそうと、最近の教育についての話を聞くとふと大本営参謀の情報戦記—情報なき国家の悲劇 文春文庫p64にある、騎兵集団長(師団長に相当)と岡野二等兵との会話を重いだす。第二次世界大戦時の日本軍では部隊に配属されたばかりの初年兵の教育期間の最後に、成果を集団長が検閲したそうである。集団長は兵舎を回って、初年兵を一人ずつ見周り、時々質問をする。この時の作者堀少尉(当時)が教育した中で鈍根組な岡野二等兵と集団長の会話である。


「どうだ、集団長の官姓名は?」
背の高い偉丈夫が、大きな勲章を吊って岡野を見下ろした。岡野の頭脳はもはやこの世のものではなくなった。万事休す。一瞬二瞬、岡野の緊張した顔の口が開いた。その瞬間、
「あなたが集団長さんでないか」
岡野は指を差して喋ってしまった。堀は動転するばかりに驚いた。
「そうだ、わかっておれば良い」
一同固唾を飲んで見守る中で、集団長は意外な言葉を返して、岡野の緊張した肩に手をやって軽く叩いた。

作者はこの一見で、軍の形骸化を考えるようになったのだとか。ちなみに、この岡野二等兵はその後、中国方面での勇者として称えられたのだそうだ。いやそれだけ。